2020年2月14日金曜日

年月を経て聴こえる弦の響き

Nick Beggsの三枚組のアルバム『Words fail me』を購入した。
日本のサイトでは情報が遅く、購入してから一か月後に
販売開始したのを知った。
やはりポップカルチャーの第一線から退いた
アーティストに対し残酷すぎる音楽業界。

1枚がカバー集、あと2枚は過去のオリジナルアルバム。
いきなり3枚揃えて嬉しい。
けれど『Stick insect』ばかり聴いてしまう今日この頃。
穏やかな気分になれる曲が多い。
この人は不思議だ。
他ではもっとハードな音を
取りつかれたようにバリバリ出しているのに。
この人はなんて器用なんだろう。
『The Raggea man's Hair Do 』
タブラの音でエスニックなスパイスを散りばめて
しれっとのどかな音を奏でている
『レゲエマンの結髪』ってタイトルも面白い    



私のお気に入りはこれ。
『Tonto's return』
『トントの帰還』
ディスカバリーチャンネルで一時大人気だった
『Glove Trekker』のBGMみたいなフレーズ。
飛行機と鉄道、さらに船を乗りついで
辿り着いた故郷みたいなリズム。

しばらく前にも重ねて言ってたけれど
Nick Beggsはカジャ・グーグー時代のアルバムを
好きじゃないという。
結構いい音出してたよね、
と特別なファンでなくても思っている人は
結構多いのに。
そしてちょっと詳しい人はこう思う
『え?じゃあ『Islands(アイランズ)』も好きじゃないの?』
答え:ええ、そうなんです・・・
その理由というのがどうやら
『カジャ時代のアルバムは多忙の中、
スタジオ缶詰で徹夜やっつけ仕事で作ったものだから』
今聴いてもずいぶんアラが目立つ、とのこと。
『どこがどうアラなんですか、ニック先生!?』
と思うのが当然だと思う。

ただその後の活躍が地味とは言え、Steven Wilsonのライブなど
ものすごくクオリティの高すぎる場所にいるので
確かに今の立場からしたら色々思うところはあるに違いない。
ああでも、なんだか勿体ないな、と思う時がある。
かつて、カジャ再結成時のドキュメンタリーでは
凄く嬉しそうにしていた彼のことを思うとちょっと切ない。

そしてNick Beggsは最近、Howard Jones、Robin Boultらと
共にライブをしている。お互いのライブが無い時間の空いた時に入れているようで
カジュアルなライブハウスで演奏している。
合間にフランクな会話を楽しんだりしている。
目の前でにこやかに耳を傾けている
たぶん同級生のようなおじさま軍団に紛れ込みたい。
曲は懐かしの『What is love?』


そしてここはもう少し大きめのホールで
3分ほどのおしゃべりの後でおもむろにはじまる
Howardの声による『Too Shy』のリフレイン


Nick BeggsはHoward Jonesとずっと仲良しらしく
時々部屋で気軽にセッションをしてる動画をUPしていた。
(どうでも良い話だが、ちなみに80年代結構好きだった
"でも周りに聴いてる人いなかった"のNick Kershowとも
お友達で、先日大昔もらったプレゼントが出てきたと
スタートレックに身をつつんだ人形(超レア?)を公開し
『これって何か、隠された意味があるものかな?』と
コメントしてた)

たしかに80年代、聴く側は
彼らの音楽と淡麗な容姿を楽しませてもらった。
でも今、年齢を経てすごくイイ顔をしている彼らを見てると
また新たな形で幸せを享受しているようで嬉しい。
今の時代、こんな風に素直に喜べることって
そうそうないと思うから。

ちなみに
私の一番好きな彼らのライブは
10年ちょっと前のもの。
『Dream On』
もう一度、人生にかけてみようと思う男の歌。

Howard Jonesがレコード会社を解雇されて精神的に絶望を感じ
辛い日々を送った後、奮起して会社を興し、
作成したアルバム『Angels and lovers』
この曲は日本のテレビドラマのOPにも使われていたから
知っている人は意外に多いかもしれない。
この曲の前奏曲としてNickが少し自分の曲を弾き
そのあとでファンキーなベースに移っていくところが本当に粋だ。

Nick Beggsはチャップマンスティックという楽器を
カジャ・グーグー時代、ふと訪れたライブで知り
当時情報のほとんど無い状況の中で調べ尽くして
買いたいと思っても高価すぎて手が出せなかったそうだ。
ちょうどその頃、色々あってカジャからリマールが抜けた。
そして次のボーカルは君だ、とレコード会社から言われた時、
チャップマンスティックを買うことを条件に
ボーカルを引き受けたそうである。
正直、あの楽器を弾きながら歌うのはものすごく
難しいのではと思う。
でもこの新たな楽器が彼の新たな地平を開くことになるのだ。

いつか彼らの音をそばで聴いてみたい。
            
おまけ:
1987-1990まで在籍していたバンド
Ellis Beggs & Howardの
『Where Did Tomorrow Go?
80年代後半の雰囲気に満ちている 

 結構面白いと思うのだけれど現在、LPしかない・・・
LPって・・・以前買った超レアのシリアのDabkeアルバムみたいな・・・


















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