2020年2月4日火曜日

時代がやっと追いついたかもしれない

ひさしぶりのThe the(ザ・ザ)
当時ですら聴いてる人は周囲では殆どいなかった。
Amazonなどのレビューを見ると
しっかり固定ファンがいるのだが、殆どが男性のようだ。
当時、少年だった人が青年になって、おっ〇〇・・・否、
年齢を重ねた大人の男性になってなお、聴き続けている人が
ここ日本でも少なからずいるようで嬉しい。

私が初めてThe theを聴いたのは
10代後半だった。
今でも『Infected』を聴いた時の衝撃を
はっきり覚えている。
非常に肉感的な、野性味あふれる、
これぞ大人の音楽!という感じだった。
煽情的な、挑発するような曲の数々、
Matt  Johnson(マット・ジョンソン)の
渋いささやき声や、情熱的なシャウト
どことなく危険な香りのする曲調、
今まで聴いてきた音楽とはちょっと違うぞ、
そんな感じだった。
特に気に入った曲、『Sweet bird of truth』


The theは90年代に入って一度来日して
川崎クラブチッタで行った以外
来日したという話は聞いていない。
数少ない私のライブ経験のなかでも
行っておいてよかった、と思うライブのひとつである。
注目してたところに
ちょうどその頃、スミスをやめてバンド流浪の旅に出ていた
Johnny Marr(ジョニー・マー)が参加して
日本に一緒に来てくれたのはとてもラッキーだった。
『Johnny!』とMattが叫ぶと
ハーモニカを吹き始めるJohnnyがそこにいた。
「Mattとは以前から友人でロンドンに来た時に泊まったりしてるんだよ、
『Infected』を聴いた時、 自分がこのバンドで活動する姿が見えたんだよ」
と当時のインタビューではそんな風にうれしそうに答えていた。
そしてThe the 独特の雰囲気にすっかり溶け込んでいた。
当時のライブの最後の曲『Giant(live)』
他人に素顔を見せない男の哀歌。




2013年にJohnny Marrがソロ・アルバムを出してから
またThe theを聴くようになった。
時々無性に聴きたくなるのだが
最近、聴くたびになんとも言えない気分になる。
70年代~90年代初頭のイギリスのポップミュージック界は
表現方法に鬼気迫るものが見られる
個性の特出したアーティスト達が多かった。
歌詞も何か不穏な未来を予測して
警鐘を促すような独創性の高いものが多く散見される。

The theも今聴いたほうがしっくりくる。

不安定な社会、
愛情を求め彷徨う人々、

この先、私たちは一体、
どこへ行こうとしているのだろう

自分のことすらはっきりと
分かっていないのに

今夜もまた
飢えた犬のような
想いを抱えつつ

明日をどうにか生きていく

現代はそんな時代になっていないだろうか

誰も信じられない人が
多くなってはいないだろうか

そんな現代病の縮図のような曲、『Dogs of lust』



今日はこの曲の入ったアルバムをずっと聴いていた
『Slow Emotion Replay』(『Dusk』より)
時代がやっとこの曲に追いついたのかもしれない




最近Mattが時々、新曲を披露してくれるようになった
以前と変わらない渋い歌声
けれど少しだけマイルドになったような気がする
聴くものを癒すような、大人の男性の歌




あのむせかえるような妖気は少し和らいで
胸に秘めた想いを少しずつ吐露するように歌う

あの頃のアーティストには
逆立ちしたって到底かなわない
やっぱりThe the はいつも
私たちのずっと先を歩いている

そんな風に思わせてくれるThe theが好きだ






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