2023年7月2日日曜日

Madonna - Beautiful Stranger (Official Video) [HD] 90年代後半からのマドンナ

Madonnaって80年代、90年代、と年代ごとに全然違う顔をしている。
ごく初期の物も好きだけど、90年代以降の彼女のアルバムは
今聴いても凄く面白い。
William Orbitのプロデュースの頃の『Ray of light』『Music』は
本当に何度も聴いたことか。

その昔、「マドンナなんか聴いてそう」とからかわれたことがあるけれど、
私にとっては誉め言葉だと受け止めている。

『オースティン・パワーズ』はB級映画だけれど実は
エルビスコステロが出演しているとか。

この映画のために作られた『Beautiful Stranger』は超一級のポップソング。
60年代サイケ風の美しいギターリフ、ビートの効いたドラム、
ハモンドオルガンの音色は一度聴いたら忘れられない。
何度もリピートして聴ける人は12インチCDも一聴の価値あり。

2023年7月1日土曜日

Setting Sun (Instrumental) 映画「セイント」のサントラにも入ってるケミカル・ブラザースの傑作

「Saint」という映画のサントラは今でもよく聴く名曲揃いのアルバム。
David BowieやDuran Duranのちょっとレアなアルバムからの選曲や
この頃流行ったソリッドな音が沢山詰まっている。
90年代の空気が吸いたい時のオアシスみたいな一枚。

映画ではカーチェイスのシーンで使用された。
このスピード感こそ未だにDJに愛され続ける理由かと。

2023年6月30日金曜日

Dead Or Alive - In Too Deep (Official Video)  懐かしいデッド・オア・アライブのダンサブル・ポップ・ミュージック

古いカセットプレーヤーを修理してから
ゴムがまた壊れないように古いカセットテープを時々聴くと
懐かしい曲ばかり。

"In Too Deep"聴きたさにDead or Aliveの"Youthquake"を
再生。
声も姿もゴージャスなPete Burnsが歌う
「逃げたくても逃げられない恋愛」は、何度聴いても新鮮。






2023年6月29日木曜日

やさしさにさようなら オフコース 懐かしの70年代

海外の音楽を知る前に聴いていたオフコース。
流行り言葉でない素直な歌詞。
綺麗すぎてちょっと泣けてくる。
今でも大好きだと言う人もいる。

日本の昔の歌謡曲。たまに聴きたくなる。
ふとした夜の狭間、受験勉強しながら聴いたあの時間を思い出す。

2023年6月28日水曜日

Simple Minds -RARE-Sanctify Yourself -JAPAN TV (1986)4K HD  懐かしい80年代の日本の歌番組とシンプル・マインズ。

久しぶりにSimple Mindsの曲を聴いた。
ジム・カー(Jim Kerr)ってこんなに素敵だった?という程
キラキラ輝いている。
"Sanctify Yourself"の入っているアルバム『Once upon a time』は勿論、
『黄金伝説(Someone somewhere in summertime)』も何度聴いたことか。  
年月が流れても褪せない輝き。

2020年4月3日金曜日

ブログ引っ越しました

BloggerからBloggerへのお引越し。
自宅待機の今、こういう時にやっておかないと
対した量じゃないし、
と思ってふと始めたら…結構…手が疲れました…

記事を確認すると
その時々に好きだったものが分かります。
自分の中での流行。
社会も随分変化した。

今、イベントも中止になって、旅にも出られないけれど
大好きな映画や音楽は、家でも十分楽しめる。
『私には想像力があります』
赤毛のアン、アン・シャーリーのこの言葉のように
どんな時でも自分らしさを大切にしていきたい。


やっぱり今でもThe the が好きです。
『Record store day』でイベント予定だったそうなのですが
やはり延期になりました。
またいつか、Mattの歌う姿を間近で見たいものです。
そして、この方々も。
今だからこそ多くの人の耳に届いて欲しいと思う曲のひとつ。


2020年4月1日水曜日

また次に一緒に笑うために

コロナウイルス対策で思い切った発信をされた宮沢准教授。
自分が感染している、という意識を持つことが大切。
本当にその通りだと思う。
これを読んで、気持ちを入れ替えた人も多い。
なのにその言葉遣いだけを取り上げ
不愉快に思っているとされる人がいるらしい。

私は宮沢准教授のしたことは良いことだったと思う。
なぜって、今が非常に深刻な状態なのに
無自覚な人も大勢いるから。
それから、善意に基づくものであり
実際にその言葉を目にしてはじめて
自覚を持った人がとても多いことだから。

誰かがしなければいけないことだったのだと思う。

雨が降れば気も滅入る。
そんな時に少しでも楽しくなるのは音楽。
『男声合唱のための 『家のプレステで遊んでろ』』



これは歌詞が秀逸。
笑うと同時に体がふわっと軽くなる。
我が家では海の映像とかを見ていることが多い。
ブルーラグーン、美しい夕日も心が癒される。

いろんなことをあきらめている人が大勢いる。
私はいつかまたそれができる日を待つ
そのためにできることを今は少しずつ始めている
明るい日の下でまた一緒に笑い合うために

余談:最近、久しぶりに心の底から笑った動画

新型コロナウィルス対策 「布マスク2枚」に怒りを禁じえなかった総統閣下
(シュン@木製ロマンチカ
 https://twitter.com/syun_mokuroma/status/1245306313686450176

この動画はブルーノ・ガンツがヒトラーを演じた
『ヒトラー 最期の12日間』からの一幕。
ところどころ空耳っぽい雰囲気もあって味わい深い。
言葉は不思議で
意味が本当に理解できてしまうと
空耳で聞き取ることがとても難しくなるから
ドイツ語が聞き取れる人は反ってこの面白さが
分かりにくいかもしれない。

ブルーノ・ガンツはヒトラーを演じた時、ドイツ国民から
かなり批判を浴びたという。
『ベルリン・天使の詩』で天使役だったから
その落差についていけなかった人も多かったのかもしれない。


もうひとつ、私が印象に残っているのは
『星の王子様』の著者であり、飛行家だった
サン・デグジュペリ役だ。
静かな映画だったけれど、何故かずっと覚えている。

ドイツ人かと思ったら、スイス人だった。
そんなことも知らなかったのか、とちょっと愕然となった。

スイス人として、ヒトラーを演じた。
色々な想いがあったに違いない。









2020年2月19日水曜日

マントラの響きは魂の祈り

新型肺炎のニュースが毎日のように流れているなか、
ダライラマがマントラを唱えることが感染予防につながる
という声明を中国在住の信者たちに向けて発表した。
特にあるタイプのマントラを唱えるとそれは新型肺炎に
とても有効だという話だった。

マントラというのはお経の一種で
インドやチベットなどで僧侶が唱える声明である。
日本ではよく『ありがたいお経』という表現をするが
実際、高野山などで見かける集団でお経を唱えている様子は
非常に神々しくまた少し畏怖の念を感じさせる何かがある。

流行り病に効くというマントラの意味は
分かりやすくかみ砕いて言うならば
『神を信じることによりこの世にある様々な苦しみを
私は乗り越えていきます』
というような概要であった。
「マントラは意味を理解しなければ意味のない言葉である」
ダライラマは来日した際にある日本人にそう語っている。
そしてマントラの効果は、その宗教における神の存在と
その力を信じていることが前提条件である。

マントラはこうした宗教色に満ちたものだが
同時に音楽であると私は思う。
古代、音楽は宗教と共にあった。
世界のあらゆる場所で
巫女や神官が神殿で祈りを捧げる時
祈りはフレーズとなり、
その地域独特のメロディーやリズムが伴った。
神事は神に捧げる一種の芸術であったように思う。

その原点は、人間の力の及ばないところ、
大自然の摂理への畏敬と畏怖、そして賛美
美しさは同時に恐怖を感じさせるものでもある。

今以上に疫痢で亡くなる人の多かった古代では
神に祈りを捧げることが治療法でもあった。
病に倒れた者は意識の奥でマントラを聴くことで
自らの自然治癒力を高めていき
中には奇跡的な回復を遂げた事例もあったのだろう。

美しいマントラを歌う人がいる。
その人はネパールに生まれ
チベットに修行し女性僧侶になった。
 私の家族はこの動画を見て
『ドクター・ストレンジのエンシェント・ワンのようだ』
と感想を漏らしていた。
確かに不思議なほど、心が穏やかになれる。
この優しい、柔らかに語りかけるような歌声を聴いていると
疲れた心身に染み渡る薬草湯につかっているような気持になる。

チベットではグリーンターラ
インドではマーリアンマン・ガーヤトリー
そしてきっとどの国にもそれに匹敵する女神がいる。




















2020年2月14日金曜日

年月を経て聴こえる弦の響き

Nick Beggsの三枚組のアルバム『Words fail me』を購入した。
日本のサイトでは情報が遅く、購入してから一か月後に
販売開始したのを知った。
やはりポップカルチャーの第一線から退いた
アーティストに対し残酷すぎる音楽業界。

1枚がカバー集、あと2枚は過去のオリジナルアルバム。
いきなり3枚揃えて嬉しい。
けれど『Stick insect』ばかり聴いてしまう今日この頃。
穏やかな気分になれる曲が多い。
この人は不思議だ。
他ではもっとハードな音を
取りつかれたようにバリバリ出しているのに。
この人はなんて器用なんだろう。
『The Raggea man's Hair Do 』
タブラの音でエスニックなスパイスを散りばめて
しれっとのどかな音を奏でている
『レゲエマンの結髪』ってタイトルも面白い    



私のお気に入りはこれ。
『Tonto's return』
『トントの帰還』
ディスカバリーチャンネルで一時大人気だった
『Glove Trekker』のBGMみたいなフレーズ。
飛行機と鉄道、さらに船を乗りついで
辿り着いた故郷みたいなリズム。

しばらく前にも重ねて言ってたけれど
Nick Beggsはカジャ・グーグー時代のアルバムを
好きじゃないという。
結構いい音出してたよね、
と特別なファンでなくても思っている人は
結構多いのに。
そしてちょっと詳しい人はこう思う
『え?じゃあ『Islands(アイランズ)』も好きじゃないの?』
答え:ええ、そうなんです・・・
その理由というのがどうやら
『カジャ時代のアルバムは多忙の中、
スタジオ缶詰で徹夜やっつけ仕事で作ったものだから』
今聴いてもずいぶんアラが目立つ、とのこと。
『どこがどうアラなんですか、ニック先生!?』
と思うのが当然だと思う。

ただその後の活躍が地味とは言え、Steven Wilsonのライブなど
ものすごくクオリティの高すぎる場所にいるので
確かに今の立場からしたら色々思うところはあるに違いない。
ああでも、なんだか勿体ないな、と思う時がある。
かつて、カジャ再結成時のドキュメンタリーでは
凄く嬉しそうにしていた彼のことを思うとちょっと切ない。

そしてNick Beggsは最近、Howard Jones、Robin Boultらと
共にライブをしている。お互いのライブが無い時間の空いた時に入れているようで
カジュアルなライブハウスで演奏している。
合間にフランクな会話を楽しんだりしている。
目の前でにこやかに耳を傾けている
たぶん同級生のようなおじさま軍団に紛れ込みたい。
曲は懐かしの『What is love?』


そしてここはもう少し大きめのホールで
3分ほどのおしゃべりの後でおもむろにはじまる
Howardの声による『Too Shy』のリフレイン


Nick BeggsはHoward Jonesとずっと仲良しらしく
時々部屋で気軽にセッションをしてる動画をUPしていた。
(どうでも良い話だが、ちなみに80年代結構好きだった
"でも周りに聴いてる人いなかった"のNick Kershowとも
お友達で、先日大昔もらったプレゼントが出てきたと
スタートレックに身をつつんだ人形(超レア?)を公開し
『これって何か、隠された意味があるものかな?』と
コメントしてた)

たしかに80年代、聴く側は
彼らの音楽と淡麗な容姿を楽しませてもらった。
でも今、年齢を経てすごくイイ顔をしている彼らを見てると
また新たな形で幸せを享受しているようで嬉しい。
今の時代、こんな風に素直に喜べることって
そうそうないと思うから。

ちなみに
私の一番好きな彼らのライブは
10年ちょっと前のもの。
『Dream On』
もう一度、人生にかけてみようと思う男の歌。

Howard Jonesがレコード会社を解雇されて精神的に絶望を感じ
辛い日々を送った後、奮起して会社を興し、
作成したアルバム『Angels and lovers』
この曲は日本のテレビドラマのOPにも使われていたから
知っている人は意外に多いかもしれない。
この曲の前奏曲としてNickが少し自分の曲を弾き
そのあとでファンキーなベースに移っていくところが本当に粋だ。

Nick Beggsはチャップマンスティックという楽器を
カジャ・グーグー時代、ふと訪れたライブで知り
当時情報のほとんど無い状況の中で調べ尽くして
買いたいと思っても高価すぎて手が出せなかったそうだ。
ちょうどその頃、色々あってカジャからリマールが抜けた。
そして次のボーカルは君だ、とレコード会社から言われた時、
チャップマンスティックを買うことを条件に
ボーカルを引き受けたそうである。
正直、あの楽器を弾きながら歌うのはものすごく
難しいのではと思う。
でもこの新たな楽器が彼の新たな地平を開くことになるのだ。

いつか彼らの音をそばで聴いてみたい。
            
おまけ:
1987-1990まで在籍していたバンド
Ellis Beggs & Howardの
『Where Did Tomorrow Go?
80年代後半の雰囲気に満ちている 

 結構面白いと思うのだけれど現在、LPしかない・・・
LPって・・・以前買った超レアのシリアのDabkeアルバムみたいな・・・


















2020年2月4日火曜日

時代がやっと追いついたかもしれない

ひさしぶりのThe the(ザ・ザ)
当時ですら聴いてる人は周囲では殆どいなかった。
Amazonなどのレビューを見ると
しっかり固定ファンがいるのだが、殆どが男性のようだ。
当時、少年だった人が青年になって、おっ〇〇・・・否、
年齢を重ねた大人の男性になってなお、聴き続けている人が
ここ日本でも少なからずいるようで嬉しい。

私が初めてThe theを聴いたのは
10代後半だった。
今でも『Infected』を聴いた時の衝撃を
はっきり覚えている。
非常に肉感的な、野性味あふれる、
これぞ大人の音楽!という感じだった。
煽情的な、挑発するような曲の数々、
Matt  Johnson(マット・ジョンソン)の
渋いささやき声や、情熱的なシャウト
どことなく危険な香りのする曲調、
今まで聴いてきた音楽とはちょっと違うぞ、
そんな感じだった。
特に気に入った曲、『Sweet bird of truth』


The theは90年代に入って一度来日して
川崎クラブチッタで行った以外
来日したという話は聞いていない。
数少ない私のライブ経験のなかでも
行っておいてよかった、と思うライブのひとつである。
注目してたところに
ちょうどその頃、スミスをやめてバンド流浪の旅に出ていた
Johnny Marr(ジョニー・マー)が参加して
日本に一緒に来てくれたのはとてもラッキーだった。
『Johnny!』とMattが叫ぶと
ハーモニカを吹き始めるJohnnyがそこにいた。
「Mattとは以前から友人でロンドンに来た時に泊まったりしてるんだよ、
『Infected』を聴いた時、 自分がこのバンドで活動する姿が見えたんだよ」
と当時のインタビューではそんな風にうれしそうに答えていた。
そしてThe the 独特の雰囲気にすっかり溶け込んでいた。
当時のライブの最後の曲『Giant(live)』
他人に素顔を見せない男の哀歌。




2013年にJohnny Marrがソロ・アルバムを出してから
またThe theを聴くようになった。
時々無性に聴きたくなるのだが
最近、聴くたびになんとも言えない気分になる。
70年代~90年代初頭のイギリスのポップミュージック界は
表現方法に鬼気迫るものが見られる
個性の特出したアーティスト達が多かった。
歌詞も何か不穏な未来を予測して
警鐘を促すような独創性の高いものが多く散見される。

The theも今聴いたほうがしっくりくる。

不安定な社会、
愛情を求め彷徨う人々、

この先、私たちは一体、
どこへ行こうとしているのだろう

自分のことすらはっきりと
分かっていないのに

今夜もまた
飢えた犬のような
想いを抱えつつ

明日をどうにか生きていく

現代はそんな時代になっていないだろうか

誰も信じられない人が
多くなってはいないだろうか

そんな現代病の縮図のような曲、『Dogs of lust』



今日はこの曲の入ったアルバムをずっと聴いていた
『Slow Emotion Replay』(『Dusk』より)
時代がやっとこの曲に追いついたのかもしれない




最近Mattが時々、新曲を披露してくれるようになった
以前と変わらない渋い歌声
けれど少しだけマイルドになったような気がする
聴くものを癒すような、大人の男性の歌




あのむせかえるような妖気は少し和らいで
胸に秘めた想いを少しずつ吐露するように歌う

あの頃のアーティストには
逆立ちしたって到底かなわない
やっぱりThe the はいつも
私たちのずっと先を歩いている

そんな風に思わせてくれるThe theが好きだ






2020年1月24日金曜日

夢幻の世界を彷徨うひととき

ある日どこからともなく流れてきた
『Wuthering heights(嵐が丘)』の一節
『Heathcliff, it's me Cathy(ヒースクリフ、私よキャシーよ』に
 思わず誰の歌?と振り返るほど
驚いたのがKate Bushの歌声だった
それは私が勝手に思い描いていた
19世紀のEmily Bronte(エミリ・ブロンテ)の小説
『嵐が丘』のイメージそのままだったからだ
ヒースの荒野を永久に彷徨うCatherine(キャサリン)の魂と
Heathcilff(ヒースクリフ)の想いを見事に歌い上げ
モダン・バレエのユニークな振付でしなやかに踊る
ケイトの姿はまるで巫女やシャーマンのようだ


             
それからの長い道のり、
彼女の歌声を聴き続けてきた

彼女の愛らしい歌声は
圧倒的な美しさと狂気の間を
始終行ったり来たりするような究極の妖しさが垣間見られ
この曲を聴くときには『彼女の世界に入る』覚悟のようなものが
必要な感じがしていた。
まるで聴く側にも入室許可が必要な雰囲気があった
『Cloudbusting(クラウドバスティング)』も
そうした独特の雰囲気がある
今でもひとり、雨音を聴きながら寝返りを打つ時に
心に去来する音楽のひとつである



味のある俳優Donald Sutherland(ドナルド・サザーランド)は
アガサ・クリスティ原作の英国映画
Ordeal by Innocence(ドーバー海峡殺人事件)を何度か鑑賞して
(その頃、ホームズとか、クリスティとか
ミステリーにはまっていたため)
このPVはその当時の雰囲気がしてとても嬉しい
PVはCloudbuster(雲粉砕機?)を開発し
自然を操れるようになった
父親が政府役人?秘密捜査官?に逮捕され
代わりに娘(もしかして息子??)
が父親の開発した機械を使い
雨を降らせるというもの
以前この機械を作った人が
結構時間をかけて作ったんだよ
というようなことを言っていた
(いやはや全く、全て手作りとは
実にイングランドらしい職人気質)
登場するケイトはショートヘアで
父親の開発したものを目を丸くし
猫のようにじっと眺めていたり
急斜面を慌てて走り転がり続け
走りつづけたりと
体当たりの演技で
実に愛らしい
そして父親役のドナルドも
手を抜かない繊細な演技をしている
芸達者な2人が微笑ましい親子を演じる様子と
郷愁を誘うようなイングランドの
緑の丘陵地帯の映像は
(ケイトの出演した殆どの作品がそうであるように)
ミニシネマと読んでも良いほどの芸術を感じさせる

でもケイトの書いた歌詞は
本当はもっと深い
父親への複雑な想いを吐露する女性の歌
世間から理解されない苦しみ
親子に渡るアイデンティティの問題
受け継がれている想いを歌っているようだ

10代の頃の彼女のインタビューで、
彼女は心理学者になりたかったと言っている
人の心に興味があったのだろう
深い洞察力。
それが歌に深遠な意味を持たせることになる

10代の頃はちょっと
彼女の世界に入れこみすぎ
アルバム『Hounds of Love(愛のかたち)』を
繰り返し何度も聴いていた。
自分の殻に閉じこもり
不機嫌に見えることも多かった
親にも
同年代の友人たちにも
バイト先の同僚にも
一切理解されなかったように思う
小学生の頃から仲良しだった子ですら
シュールな音楽をもくもくと
かけつづける私をまるで
どこか別の世界に行ってしまった
知らない人間を見るように
遠い目をして
『で・・・この曲が好きなの?』
なんて返事にこまっていた
しばらく音信不通になった友人たちと
自分から連絡を取ろうとせず
ここではないどこかへ行く計画に
夢中になっていった

許可なくして入れなかった
ケイトの秘密の部屋は
鍵が壊れ今やいつでも入れるような状態になっていた

「いつでもいらっしゃって、いいのよ。」

そしてそれはとてもまずい兆候では、あった

夜眠れないのに
その頃の私は
昼間は眠くて仕方がなかった

完璧な夢を求め彷徨う世界
ヴィム・ヴェンダースの映画
Bis ans Ende der Welt (夢の果てまでも)』の
夢追い人と化した人々のように



共演しているダンサーはGow Hunterという人で
1960年生まれなのに残念なことに2011年に亡くなられている
2008年に『Inkheart(インクハート/魔法の声)』
という映画に出演されているらしい

政府から追われている
(PVはやたら何かに追われている状況が多い)
男と共に逃げる彼女
必死に森の中逃げた先に入り込んだ家屋は
なぜか能天気にパーティ中
浮かれた人々に紛れ
後からやってきた 追っ手を
ダンスでかわしながら
さらに逃げていく



人々が集まって外を覗くシーン
表情を固くした俳優たちの古き良き雰囲気
追い詰められたふたりが見せる華麗なトリル
ヒッチコックを意識した映像に雰囲気がぴったりだ
日本で言えば大正浪漫のような懐古趣味的な美しさと
重厚で上品な雰囲気があり
このPVがケイトの曲の中で一番好きかもしれない

潔癖だった思春期を通り越して
今思うことと言えば
あの頃の悩みは贅沢なものだったが
考えすぎたために深刻だった
いろいろなことがある人生のなかで
輝いてみえるのが芸術であり音楽なのかなと思う

最近、実は少しずつ彼女のアルバムを集め直している。
なんだか、Peter Gabrielの『So』の買戻しみたいな現象である。
年月が経ち、彼女の歌声が唯一無二であるという
印象が強くなり
ふたたび、彼女の世界を探求したくなった
今こそ彼女の音楽が必要
それでいきなり購入したのが
例の『Hounds of Love』と『Dreaming』

彼女自身、『Dreaming』の録音後
レコーディングにのめりこみすぎて
ちょっと妖しくなっちゃったのよね
と意味深に語っている
心が壊れたという噂まであった
やや危険な香りのするアルバムであるらしい
でも今聴くと
とても懐かしい
綺麗に装丁された
古い希少本をふたたび
開くときのときめき
そんな特別な気分になる音がつまっている



この曲を聴いていた時
当時やたらと現実に腹が立っていた
学校にも何処にも理解者がいない
彼氏は時間どおりに現れない
夢を実現したいのにお金がない
眠れない
そんな感じの時
彼女のブッチ切れたような雄たけびに近い歌声は
心の励みに一役も二役もかった
アブナイ、危険な妄想でフラフラしていた
10代の心の住処

でも実は
彼女だって
一杯いっぱいだったのかもしれない
絶叫しながらも
彼女の芸術性はギリギリのところで持ちこたえていた

ともあれ、私にとっては
完全に自立したちょっと年上のお姉さま
そしてどこか、崇高でミステリアスな存在
なのである

そんな感じのKate Bushが
Peter Gabrielと抱き合って歌うPV
『Don't give up』に
メディアは二人の関係を探りたがった



『Sledgehammer(スレッジハンマー)』以降のPeterは
『Lady's man(女たらし)』と囁かれ
ミュージシャンや女優と浮名を流していた
まだ髪のあるPeter
『In your eyes(イン・ユア・アイズ)』で
ちょっとGregory Peck(グレゴリー・ペック)似の彼が
オープン・カーに乗って歌う姿に
女性ファンが激増したあのころ




ケイトとピーターはどんな関係?
そんな疑問にケイトは
(おそらく貴婦人を思わせるような微笑みと共に)
『私たちはお互いにしか分からない言葉で会話をするの』
と答えたらしい
(まったく、君たちは銀河系の宇宙人か)

色々な憶測が立つほど、このPVでのふたりは
美男・美女であるばかりでなく
存在自体が稀有で
眩しすぎた
うな垂れるPeterに
『諦めないで 貴方には友達がいるじゃない』
と囁くように歌うケイト

今見ても本当に素敵だ。

よく考えたら、この頃まだ彼女は20代後半
誰から見てもとても魅力的
でも
このふたりは結局
ここから何か発展することもなく
Peterは『Us』を
Kateは『Sensual World』を発表する



Peterは私生活入り乱れていたために
それどころじゃなかったせいなのか
ふたりが付き合わなくて
(というか、通常の人の理解を超えたつきあいで)
よかったと思う

その後出したそれぞれのアルバムを聴きながら
リスナーは永遠に夢を見ていられる

先述のデュエット曲、
『Don't give up』は結果的に人々の心の支えになり
今でも動画再生や感謝のコメントが止まらないようだ。
Peter自身、この曲には不思議な力があるとコメントしている。

今の、先の見えない世の中にこそこうした曲に
励まされる人が多いのだろう。

実は別の歌手にデュエット依頼して断られ
結果Kateに話が回ってきたらしい。
最初の相手それはなんとドリー・パートンだったとか。
(なんで最初からケイトに頼まないんだよ!)

年下の筈なのに、10代の頃から自立してて
年齢よりずっと大人びて見えた彼女。
私生活が 不安定だった彼を励ますような
そんな彼女だったからこそ
この頃、ひときわ輝いてみえたのかもしれない。


嬉しそうに賞の受賞者を読む彼女が
彼の後ろで見守るように微笑んでいるのが印象的だった。   
     
実は彼らは以前からの知り合いで
1979年には一緒に企画ライブしていた。
このライブは一つ一つ丁寧に作られたもので、
彼らは別れゆくカップルを
歌いながら演じている。この頃まだ彼女は21歳。
この疲れたアンニュイな
感じはどこから来るのだろう。



                              
『Red Shoes』の中の一曲
『Rubberband girl』
どうでも良いことだけれど
彼女の来ているブルーグレイのシャツは
レオタードなんだろうか、シャツなんだろうか
漆黒のカーディガンもさりげなくてとても素敵だ


         
歌も、ピアノも、ダンスも、演技も          
何をやっても、 本当に上手くて、人を深いレベルで感動させる。
David Bowieと同じリンゼイ・ケンプ・カンパニーにいて
同じように音楽の世界で強い影響力を放っていった。


           
私は今夜も彼女の世界の扉をそっと開ける
彼女が魅了する世界を純粋に楽しむために
そして非日常と日常のはざまに身を置いて
混乱する世界のなかで
自分を見失わないようにするために

一番好きな曲:少年の瞳を持つ男
翻訳タイトルもシンプルでいい。


           
追記:2012年頃、Kateが久しぶりにライブをしたようだが、
その時彼女の姿は全く別人になっていた。
その様子を見て、がっかりした人も少なくなかったようだが、
私は『何か問題を抱えているのか?』と色々と案じてしまった。
と同時に、彼女も(あたりまえだが)人間なんだなと
妙な親近感すら沸いた。
私も体脂肪に問題を抱えていたからだ。
そして最近、2018年ごろのライブでは
とても愛らしい彼女の姿を拝見することができた。
私はとても安心して床についた。
やはり彼女には美しく可愛らしくあってほしい。
観客にとってのミューズ(詩神)であってほしいからだ。


                                              

                                               




         
















Madonna - Beautiful Stranger (Official Video) [HD] 90年代後半からのマドンナ

Madonnaって80年代、90年代、と年代ごとに全然違う顔をしている。 ごく初期の物も好きだけど、90年代以降の彼女のアルバムは 今聴いても凄く面白い。 William Orbitのプロデュースの頃の『Ray of light』『Music』は 本当に何度も聴いたことか。 その...